醸造家が教えるビール講座1~ビアスタイル、エールとラガーの違い・特徴とは?~

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クラフトビール好きの方のために、ステキなビール情報をお届けしている当サイト。これから実際にビールを作るプロ目線で、ビールにもっと詳しくなれる「醸造家が教えるビール講座」を展開していこうと思います。

ビアスタイルって一体何のこと?

初回はズバリ、ビールの「スタイル」について説明しましょう。

「ビアスタイル」を知っていますか?
ビアスタイルとは、そのビールの色や味わい、香りなどによってカテゴライズされたビールの分類です。

ビアバーに行くとさまざまな名前のビールがあります。IPA、ピルスナー、ヴァイツェン、スタウト、etc・・・・・・。これらは全部ビールのスタイルを表す言葉です。
分類するための基準はとても複雑で、色や味わい、香り、アルコール度数、さらには原料の産地や種類なども加わります。

それらの基準を規定した、「ビアスタイルガイドライン」があり、ビールの品評会などでもこの基準に沿ったスタイル別に評価されることが一般的です。

今回はまず、もっとも大きな分類項目、「ラガー」と「エール」について解説します。

ラガーとエールの違いは?

ラガービールとエールビールの違いは、使っている酵母の種類に依ります。ラガー酵母は5~16℃で発酵する酵母、エール酵母は18-22℃くらいで発酵する酵母の総称です。

ラガービールの特徴


比較的低温で発酵するラガー酵母は、発酵後タンクの下に沈むので「下面発酵酵母」とも呼ばれています。製法としては比較的新しく、ゴールドカラーで水のようにゴクゴクと飲める、キレのある味わい。世界中で一般的に流通しているほとんどのビールは、ラガービールです。

ラガー酵母は、エステルと呼ばれる香り成分をあまり出さないのが特徴です。エステルはフルーティで濃厚な香りの素。ラガービールがスッキリした味わいなのは、エステルが少ないためです。

日本の大手メーカーが作っているビールはほとんどすべてピルスナーという、ラガービールの代表的なスタイルです。
ほかにも、ドイツ風の黒ビール「シュバルツ」や、カラメルの香りが強く、甘味が特徴の赤銅色ビール「ドゥンケル」など、さまざまなラガービールがあります。

エールビールの特徴


ラガーに対し比較的高温で発酵するエール酵母で造られるビールを、エールビールといいます。発酵後に酵母がビールの上に浮いてくるので、「上面発酵酵母」とも呼ばれています。古くからある製法で、香り成分のエステルが多い、フルーティな風味が特徴です。イギリスやベルギーなどではラガービールと並ぶほどの人気があり、ペールエールやポーター、IPAなど、さまざまな色や風味のものがあります。濁りが特徴のフルーティーな白ビール「ヴァイツェン」なども大別するとエールに属するビールです。

その他のビール


大きな分類はラガーとエールと書きましたが、実は、このどちらでもない酵母を使ったビールもあります。それは、天然酵母を使ったビールです。
ブリュッセルの野生酵母で造られる酸味の強い「ランビック」が代表的で、一般的なビール酵母とは違う様々な菌の発酵によって独特の風味が生み出されています。

日本ではほとんどのビールがラガーではありますが、クラフトビールやビール専門の飲食店が増えた近年では、日本でも多くのエールビール、天然酵母のビールが飲まれるようになりました。どのビールにもそれぞれ魅力があるので、いろいろ試してお気に入りを見つけてください。

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