毎度ビールについてのあらゆる知識をご紹介している当サイト。「醸造家が教えるビール講座」と題しお送りしてきたマニアックなビールの話も今回でとりあえず最終回。前回に引き続きまして「ホップ」にスポットライトを当てたいと思います。
前回はアメリカンホップを紹介しましたが、今回はヨーロッパのホップです。たくさんの国で生産されているので、その種類は実に多種多様。とっても奥深い世界です!
ヨーロッパホップ
1、ザーツ
ザーツはチェコの伝統的なホップです。チェコと言えばピルスナーが有名ですが、ほとんどの場合、ザーツが使われています。日本の大手ビールも、ドイツやチェコをお手本に進化してきた歴史があるため、ザーツが使われることが多いのです。
特徴はα酸の低さとクリーンな苦み、そして、草原のようなフレッシュな香りです。チェコ以外でも栽培されており、USザーツやNZザーツ(モトゥエカ)は、それぞれチェコ産とは違った独自の香りがあります。
2、ケントゴールディングス
イギリスで伝統的に使われているホップで、その香りはよく紅茶に例えられます。α酸が低いのでアロマに使われることが多く、イギリス以外でもカナダやアメリカなどで栽培されています。
イングリッシュIPAや、ESBといったスタイルのビール、スタウトなど濃色系のビールにも利用されています。ちなみに原産地のケント州で栽培されたものは、単にゴールディングスという名前で流通しています。
アメリカ、ヨーロッパ以外にもホップは生産されている!
実はここまで紹介した以外の国々でもホップを作っています。せっかくなのでその他の地域のホップも紹介いたしましょう。日本で作っているホップも要注目です!
1、ネルソンソーヴィン
ニュージーランドのネルソン州で主に栽培されているホップです。
ネルソン州にはワインの産地であるマールボロ地区があり、ソーヴィニヨンブランという白ブドウ品種が有名です。同地域で育てられたネルソンソーヴィンは、白ブドウやソーヴィニヨンブランの特徴である、草原のような香りを持っています。
フムレンという香り成分の比率が高く、その特徴的な香りから非常に人気の高いホップです。大手メーカーの限定ビールなどで、しばしば使われています。
2、ソラチエース
名前のとおり、北海道空知郡原産のホップです。しかし、現在はほとんどがアメリカで栽培されたものが流通しています。日本ではあまり使われることがなかったホップですが、アメリカで青草のような独特のアロマと高いα酸に注目が集まり、いまや人気ホップのひとつとして知られています。近年、国内クラフトビールシーンの盛り上がりによって、日本のメーカーも、日本が誇るホップとして、ソラチエースを使うことが増えてきています。
美味しいビールと出会ったときは、使われているホップを調べて、その特徴を意識しながら飲んでみると、より楽しめるのではないかと思います。
今回ご紹介したホップ以外にもたくさんのホップが使用されています。是非いろんなビールを飲んで、自分のお気に入りホップを見つけてください。
9回に渡って「醸造家目線」でビールの知識をご紹介してきましたが、いかがだったでしょう。難しい話題もあったかと思いますが、知っていて得するビールの知識ばかり。ビールを飲むときに少しでも思い出していただければ幸いです! また
ほかのお酒は飲まなくてよいというほどのビール好き。
クラフトビールについて日々勉強中です!