醸造家が教えるビール講座7~糖化について その2~

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クラフトビール好きの方に向けてビールの詳しい知識をご紹介している当サイト。今回は「醸造家が教えるビール講座6」。前回に引き続きビールづくりの中でとっても重要な工程、「糖化」について解説させていただきましょう。知っているとビールを飲む席でうんちくを語れちゃうかも!

糖化によってクラフトビールの味が変わる!

浅草橋 クラフトビール

前回も糖化の奥深い工程について説明してきましたが、細かい温度の違いでガラッと味わいが変わるほど繊細な作業。たった1℃の違いでも大きく酵素の活性が変わるため、取れる糖分の種類や割合が大きく変わり、それは出来上がりの味わいに直結する最重要ファクターでもあるのです。温度の違いがそこまで味に影響するのは、前回紹介した2種のアミラーゼの活性温度の違いにがあるからです。

でんぷんが糖化されると主にマルトースとデキストリンが生まれます。マルトースは発酵工程において酵母によってアルコールと二酸化炭素に分解されますが、デキストリンは分解されずそのままビールに残ります。

これがビールにボディとコクを与えてくれますが、多すぎると逆に爽快感が失われ、べったりとした印象のビールになります。

2つのアミラーゼの働きは糖化温度によって以下のように変化します。

温度が少し違うだけでビールの味が激変!

糖化は「温度」がとっても大事、とはここまで述べてきましたが、では実際にどのようにビールが変化するのでしょう。ここでは60℃、65℃、70℃と3つの温度を例に説明してみます。

60℃で糖化させるとどうなる?

60℃で糖化させると、αもβもよく活性して糖化が進み、ほとんどのでんぷんがマルトースなど発酵性糖分に分解されます。すると発酵後に残る糖分が少ないので、すっきりとした印象のライトボディのビールが生まれるんです。

65℃で糖化させるとどんなビールに?

65℃で糖化させると、βアミラーゼの活動が弱くなり、αアミラーゼは最大の活性を示します。すると糖の分解は進むもののデキストリンも一定量できるので、出来上がったビールはややコクのあるミディアムボディになります。

70℃で糖化させるとどんな味に?

さらに5℃高い,70℃で糖化させるとβアミラーゼは失活し働かないので、αアミラーゼのみで糖化が行われます。βアミラーゼがないとデキストリンの効率的な分解ができないため、多くのデキストリンがビールに残り、コクのあるフルボディのビールができます。

さらにpHも酵素活性に影響するので、液体pHによってもこれらの働きが変化していきます。

糖化はビールの味を決める重要な工程です!

このように、わずかな温度の違いでも糖化酵素の働きは劇的に変化しています。この働きの違いが、ビールの味わいの違いとなって表れているのです。
ブルワリーにとって、糖化は片時も目を離せない大事な工程です!

デキストリンだけではなくカラメルモルトやタンパク質などもコクを出す成分ではありますが、原料を変えずに味わいを大きく変化させる糖化工程の面白さは、また別格です。

色のわりにスッキリした味わいだ、と感じるビールがあれば、糖化によってその飲み口を生み出しているかもしれません。

※画像はすべてイメージです。

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