醸造家が教えるビール講座4~モルトの種類~

この記事は約3分で読めます。

ビールに関するあらゆる情報を提供している当コラム。醸造家が教えるビール講座は今回で4回目です。前回は「モルト」についてお伝えしましたが、今回は「モルトの種類」について学んでいきます。

モルトにはいろんな種類がある

モルトとなる大麦は、実は世界中で作られています。その話は次回お話するとして、今回は簡単にモルトの種類についてご紹介したいと思います。

モルトの種類

モルトには麦の品種、麦の加工方法などによってさまざまな種類があります。

ベースモルト

その名の通り、ビールのベースとなる、最も多く使うモルトです。ピルスナー、ペール、ミューニック、ウインナーなどの種類があり、いずれも淡色のモルトです。
ベースモルトはアルコールの素になる糖分を提供する役割を担っています。これがないとビールになりませんので、どんなビールにも一定量以上含まれています。

カラメルモルト

麦の発芽後、デンプンがある程度糖分に変わってから、ロースターで乾燥、焙燥させたものです。糖分が熱によってカラメル化します。
カラメル化した糖分は酵母が使えないので、カラメルがビールに残り、独特の香りやコクを生み出します。
熱する温度によってカラメルの色合いが変わるので、色味によって様々なカラメルモルトにカテゴライズされます。
代表的なのは、アンバーエールやIPAなどです。

ローストモルト

ローストモルトはコーヒー豆のように黒く焦げるまで焙煎したモルトで、黒ビールの色のもとになります。
香ばしいロースト香や、チョコレートやコーヒーのような風味をビールにもたらします。
少量でビールの色を濃く変化させることができるので、色味の調整に使われることもあります。

ローストバーレイ

ローストモルトと似ていますが、こちらはモルトではなく、未発芽の麦を焙煎したものです。

もともとは、アイルランドで酒税を節税するために、ギネスビールが使い始めました。今ではスタウトというビールスタイルに、欠かせない原料となっています。

ウィートモルト

こちらは大麦ではなく小麦の麦芽です。大麦に比べタンパク質を多く含み、色も薄いので、白っぽくきめの細かい、持ちのいい泡が立つビールとなります。
ヴァイツェンやホワイトエールなど、白ビールと呼ばれるビールには、ほとんどの場合ウィートモルトが含まれています。

同じ色のビールでもカラメルモルトの色味かローストモルトの色味かによって味わいは大きく異なります。さらに産地の違いによって糖化の仕方が違うため、ブルワリーは狙った味になるよう、さまざまなモルトを使い分けながらレシピを作成しているんです。

 

なんとお米もビールの原料になる?

ほかには、小麦やライ麦、お米なども原料として使われることがあります。特に小麦はヴァイツェンやホワイトエールには必ず使われており、独特な丸みのある甘味やきめ細やかな泡をもたらします。

モルトはホップに比べ分類が非常に複雑で、さまざまな組み合せで使われているため、でわかりにくい部分があるかもしれません。
ビールの色を見て、どんなモルトが使われているか想像しながら飲んでみるのも、楽しみのひとつとなります。

ぜひモルトの知識を身につけて、さまざまなビールとの出会いを楽しんでみてください。次回はモルトの生産国についてご紹介します!

タイトルとURLをコピーしました