クラフトビールの種類が豊富で、ブルーワーが数多く立ち並ぶアメリカでは、ビールの認定資格が近年人気のようである。認定試験を突破し、見事ビールのエキスパートとなった人々がCiceroni(シセロニ)だ。
シセロニは、ワインでいうソムリエのようなもので、イタリア語で「案内人」という意味をもつ。
“ビールのエキスパート”の称号を得るための資格
シセロニになるための資格試験はシカゴの企業によって運営されていて、シセロニ最高峰の資格である“master cicerone(マスターシセロニ)”の称号を取得するにはまるまる二日間かかるという。
試験内容は、3時間の質問形式のエッセイと選択式のテスト、ブラインドテイスティング、そして口頭試験といった感じだ。
マスターを取得しているのは世界で24人ほどだが、マスターより下の資格である、“Cicerone(シセロニ)”の認定を受けたのは4,500人ほど。オンラインで取得できる“Certified Beer Server(認定BS)” は15万人もいる。
高い専門性をもったビール案内人が必要とされる理由
シセロニが増えた理由は、アメリカのビール市場の複雑性が背景にある。過去数十年の間、ビールの消費はワイン、スピリッツやアルコール炭酸飲料にマーケットを奪われた状態にあったが、“クラフトビール”の人気は衰えなかった。
アメリカのクラフトブルワリーの業界団体であるBA(Brewers Association)によると、1982年にはアメリカ国内で93ヶ所のブルワリーしかなかったのが、昨年は9,247ヶ所にも増えたのだ。
コロナのパンデミック下でさえも、その数は緩やかではあるが増え続けた。クラフトビールの売り上げは、ビール全体の13%を占め、年間8%ずつ増えている。
シセロニのコンセプトを最初に考案したレイ・ダニエルズは、複雑性が増し続けるビールを販売するには、より高度な知識を持ったバーテンダーが必要であるという。
クラフトビールに関する専門性は今後強く求められる可能性がある
クラフトビールの専門家が増えることによって、クラフトビールの市場をさらに広げていくことが可能になるかもしれない。例えば、マスターの資格を取得したことで、“高級レストランでのクラフトビールと食事とのペアリングの可能性を切り開くことができた”と資格保持者の一人である、カンザス州のウィッテ氏もコメントしている。
まだフルタイムのシセロニを雇用しているレストランは少ないが、認定資格は現在、卸売業者やマーケティング業界から強く求められている。顧客の要求も、ビールの種類からドライラインの洗浄に渡るまで、ますます厳しくなってきている。ビールに関する専門知識の未開拓市場は、日々拡大しているのだ
引用元:The Economist
The growth of the “cicerone” shows how craft beer is thriving
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