世界のビールの歴史 その② 19世紀の大発明がビールの歴史を変えた

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ビールにまつわるいろんなお話を紹介する当サイト。

今回も前回から続きまして「世界のビールの歴史」に迫ります。

はるか昔から人々に愛されてきたビールがどのように発展し、世界に広まっていったのかを、一緒に学んでいきましょう。

まずは前回のおさらい!

前回は、古代から中世のお話。

メソポタミア文明の頃から作られていたビールは、中世に入りヨーロッパの修道士の間で盛んに造られるようになりました。

徐々に民間にも広がり16世紀のドイツでは、今のビールの礎となるルールが作られビール文化がさらに世の中に広まるきっかけとなりました。

19世紀に近代ビールの3大発明!

今回は、近代のビールのお話から。

19世紀に入ると科学が急速に進歩します。

これによりビールの製造にも大改革の波が押し寄せることになりました。

ビールの発展には3つの発明が大きく関わっています。

1つ目の発明:「低温殺菌法」

フランスの細菌学者パスツールが、葡萄酒の再発酵を防止する方法として「低温殺菌法」を発明。

パストリゼーションと呼ばれるこの方法の導入により、ビールを長期間変質させないで保存することができるようになりました。

2つ目の発明:「冷却機」

ドイツのリンデにより造られた「冷却機」もビールの歴史を語るうえで外せないものの一つ。

それまでは「ラガービール」に代表される下面発酵のビールは、低温で熟成する必要があるため、冬の期間しか醸造することができないものでした。

しかし、この冷却機の発明により夏の醸造が可能に。

ビールが一年中作れるようになったことで、ビールの人気がさらに高まっていきます。

3つ目の発明:「酵母純粋培養法」

カールスバーグ醸造所の研究員、ハンセンによる「酵母純粋培養法」もビールの品質向上にひと役買いました。

この方法により、ビールに適した優秀な酵母だけを分離できるようになり、すっきりしたビールを作れるようになったのです。

これら3つの大発明でビールが近代化。

それまでドイツ、ミュンヘンのローカルビールでしかなかったラガービールが一気にビールの中心的存在になっていきます。

ラガービールの前に有名だったのはあのビール!

ここまで読んで「アレッ?」と、思われた方もいるでしょう。

ラガービールが表舞台に立った、という話をしましたがそれまではどんなビールが一般的だったのでしょうか。

そう、みなさんご存知、近年日本でも注目度アップ中の「エールビール」がそれまでのビールの主役だったんです。

エールビールはラガービールとは逆で上面発酵という方法で作るビール。

常温で発酵させるため、夏に涼しく冬は暖かいイギリスで盛んに造られるようになりました。

ここから派生して、ペールエールやIPA(インディアンペールエール)が造られて人気となりました。

近代化はビールをより身近な存在に!

急速な近代化は、さらにビールの普及を強力に推進していきます。

19世紀にはスチーブンソンが「蒸気機関車」を発明。

この技術は水の汲み上げや麦芽の粉砕といったビール醸造の現場にも活用され、生産能力を高めることにもつながりました。

蒸気機関は、さらにその機動力の高さで、ビール界に革命を起こします。

そう、遠くの地域にビールを運ぶこともできるようになったのです。

蒸気機関車によってそれまで新鮮なビールが飲めなかった人たちの手にもビールが届くようになり、ビールはより身近な飲み物に進化していきました。

いかがだったでしょうか。

19世紀の急速な科学の進歩、近代化によって、ビールがさらに一般的な存在になったことがわかりましたね。

何より、おいしいビールを安定供給できるようになったことが、ビールの人気を絶対的なものにしました。

私たちが今おいしいビールを飲めるのも、たくさんの発明や当時の醸造所の人たちの頑張りのおかげですね。

そんなことを考えながら飲むいっぱいもまた格別!

今夜はビールの歴史に想いを馳せながらおいしいビールを楽しんでみては?

参考

サントリーHP
https://www.suntory.co.jp/

キリンHP
https://www.kirin.co.jp/

ビール酒造組合HP
http://www.brewers.or.jp/

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