アメリカのクラフトビール愛好家たちがラガービールに夢中になっている

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クラフトビールに詳しい愛好家たちの間で、冷えた、淡麗な味わいのあるラガービールが流行しています。

IPAとは大きく異なる、バドワイザーやミラーによって広められたラガービールがクラフトビール界で今、注目を集めているのです。

ビールの専門家によると、ラガービールはビールの味にうるさい愛好家たちからは「水っぽく、味が薄い」と見なされることがよくあります。

「しかし、ラガービールは今や多くの醸造所と、幅広い消費者層にとって重要になっている」と、5,300の醸造所を会員に持つ地ビール醸造者協議会のチーフエコノミストであるバート・ワトソン氏は語ります。

また、テキサス州にあるオースティン・ビールワークスの共同創業者であるウィル・ゴールデン氏は「小規模な醸造所ではラガービールが売り上げに占める割合が大きくなっている傾向がある。ラガービールの売り上げが他の銘柄の赤字を埋め合わせているほどだ」と言います。

ゴールデン氏は、さらに、「クラフトビール醸造所は過去10年間、良質なラガービールの醸造には時間がかかるため、より早くマーケットに出せる種類のビールを優先させてきた。しかし、愛好家たちは今、ラガービールの品質を醸造所のレベルを見定めるための尺度にしている。クリアで爽やかな味わいは職人の技の証明になっている」と語っています。

ラガービールは低温で製造されます。時間をかけて発酵と冷却をし、コンディショニング時の酵母の活動のスピードを遅らせることで、爽快な味わいと鮮やかな色を持つラガービールが作られるのです。

一方で、何週間もビールをタンクの中に入れておくことにより時間とコストがかかってしまいます。人件費、パッケージング費、モルトなどの原材料費が高騰しているため、ラガービールは醸造所にとってはリスクのある商品です。

しかし、全米の大小様々な醸造所を訪れている、ビール専門インフルエンサー「エール・シャープトン」ことデニス・バイロン氏は「ラガービールを専門にしている醸造所が復活してきている」と言います。

「クラフトラガーは、その飲みやすさ、口当たりのよさ 爽快な味わいから、大きな注目を得るようになってきている」とバイロン氏は語ります。

マーケットリサーチ会社ニールセンが実施したビール業界の調査結果によると、クラフトラガービールの売り上げは、2020年の11月にかけて9.4%アップし、約5億円の市場規模になっています。

また、別のマーケットリサーチ会社IRIによると、2021年には93社のラガービールメーカーが新たに市場に参入しています。これは、新しいIPAに次ぐ2番目の数です。

「ここまで多くのクラフトビールの銘柄が市場に参入してくるなんて数年前には考えられないことだった。飲みやすいビールは常に人気があった。クラフトビール醸造所が新しいヒット商品の候補としてクラフトビールを開発していることで、ラガービール人気がさらに上昇している」とモルソン・クアーズ社のクラフトビール部門「テンス・アンド・ブレイク」の代表を務めるポール・ベルドゥ氏は語っています。

参照サイト

“Craft Beer Snobs Suddenly Love the Humble Lager”

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