クラフトビールについて様々なトピックスを紹介している当サイト。「ビール通への道」では、これまでその原料の大麦、麦芽などについて解説してきました。今回は同じくビールの大切な原料である「水」について考えます。
おいしい酒を造るためには、「水」はとても重要な存在と言われていますが、ビールを造る上でも、「水」は味や風味を決める重要な存在となっています。今回は、ビールに適した水がどんな水なのか、じっくり考えていくこととしましょう。
ビールの大部分は水、おいしさに影響!
ビールの歴史を振り返ると、古くから「水」は大切な存在とされてきたことが分かります。ビールは飲み物である以上、その大部分を占めるのも「水」。なので「水」のおいしさはビールの味にも影響を与えます。
1516年、ドイツのウイルヘルム4世が施行した「ビール純粋令」において、ビールに用いてよい原料が「大麦、ホップ、水」の3種類とされました。このことは以前の記事でお伝えしています。詳しく知りたい人はぜひこちらもチェックしてみてください。
アメリカではビールの「水」は命! 呼び方も違うほど
「水」はビールの大部分を占める存在であり、ビールの味はもちろん、風味も左右します。ちなみに、アメリカではビールを造るために用いる「水」は「溶液(リカー)」と呼ばれています。
「水」の中の「ミネラル」がビールには重要
「水」の代表的な成分の一つとして挙げられるのが「ミネラル」ですが、実はこの「ミネラル」が、ビールの味や風味を決める重要な存在なんです。
「水」は、大きく分けてミネラルを多く含んだ硬水と、ミネラルの少ない軟水に分けることができます。
実は、カルシウムやマグネシウム等多く含むアルカリ性の硬水は、多くの場合ビールを造ることには適していません。それは、アルカリ度の高さが、ビールの味や風味に悪影響をもたらしてしまうからです。
硬水でもおいしいビールは作れる
しかし、硬水でもおいしいビールを造ることはできます。例えば、それ自体が弱酸性である色合いの暗い麦芽を追加で投入し、ホップを加える比率を調整すること。実際に、ミュンヘンやダブリンで有名な暗色のビールは、このような製法で造られているそうです。
麦だけでなく水もビールの味を左右していた!
ビールを選ぶ時、どのような「麦」を使用しているかということに目が行きがちかと思います。しかし、実は「水」も味や風味を左右する大事な要素なんです。
ですので、これからビールを選ぶ際には、「麦」だけではなく、どのような「水」を使用しているかもチェックすることで、おいしいビールに巡り合うチャンスが増えるかと思います。
ランディ・モーシャー『ビール大全』(2017年8月、楽工社)
ほかのお酒は飲まなくてよいというほどのビール好き。
クラフトビールについて日々勉強中です!