アメリカで多くのクラフトビール醸造所がホップを材料に使うようになっています。今回は、アメリカのクラフトビール界でのホップ人気について紹介をします。
アメリカのクラフトビール界で高まるホップへの注目
ホップは全米のクラフトビール界で今最も注目されている材料です。インスタグラムでも、タップルームでも、業界関係者の間でも話題になっています。
有名なホップ生産者であるYakima Valley HopsのCEOジェフ・ペルキンス氏に、生産者の目線からホップ人気について語ってもらいました。
Yakima Valleyのホップは、最高品質のホップの生産者としてだけでなく、世界最大のホップ生産者の一つとしても、地元ワシントン州ヤキマバレーのみならず、世界的にも知られています。
ペルキンス氏は次のように語っています。
「パンデミックがクラフトビール業界を変えたことは間違いありません。パンデミックによる経済的な影響によって多くの醸造所が自社の主力製品について見直しを行いました。
業界の動きとして、高価なホップから、より安価なホップを使った醸造への切り替えが進んでいます。
クラフトビール醸造所は高価で希少性の高い品種のホップを実験的に使うのではなく、馴染みのある品種のホップをより使うようになっています。
そのことが、それほど多くのホップの品種が新たに市場に出てきていない理由にもなっています。」
注目すべきホップの品種を紹介
クラフトビール界にとってこの数年間は厳しい時期でしたが、クラフトビール醸造所は生き残りました。
クラフトビール醸造所が主力製品の醸造によりホップを使うようになるか、効率性と風味を最大限に引き出すためにホップを使った新しい醸造方法をより取り入れるようになるかは別として、下記がペルキンス氏が2022年に人気になると予想しているホップの品種になります。
ビスタ(Vista)
ビスタのホップはIPAとよく合います。
ビスタは「Hopsource2019」で好評を博したことがきっかけでホップ市場に参入しました。
目隠しをした状態での匂いテストに参加したクラフトビール醸造所関係者たちが、ビスタにはストーンフルーツ、シトラス、トロピカルフルーツや、花のような香りがあると評しています。
また、ビスタのホップのアルファ酸値の範囲が10〜12%と比較的高いことも好評だった理由の一つです。
一般的に、ホップのアルファ酸値が高い程、醸造時に使用されるホップの量は少なくなります。生産コストを抑えたい醸造所にとっては大きな魅力です。
ターラス(Talus)
ターラスはウィートエール、ゴールデンエール、アメリカンラガー、ペールエールとよく合います。
「ターラスのホップ、シトラスの皮、ドライローズ、松脂、トロピカルフルーツ、セージの素晴らしい香りを持っています」とペルキンス氏は言います。
また、アルファ酸値の範囲も8〜12%と高いためコストパフォーマンスに優れています。
アディーナ(Adeena)
アディーナのホップはラガービールとよく合います。
ペルキンス氏は、クラフトビール業界の最近のトレンドとして「ホップ生産者は、より特定のビールの種類に合わせたホップを生産するようになってきています。より多くの醸造所がピルスナーや、ケルシュを醸造するようになってきていることから、そうしたビール専用のホップが栽培されるようになったのです」と言います。
また、ペルキンス氏は「より多くのクラフトビール醸造所がラガービールの品質改善に取り組んでいます」と近年の業界のトレンドについても語りました。
アディーナのホップはビールに柔らかく繊細な香りと、新しい風味を与えると言われています。
「卸売業者によると、ハーバルでスパイシー、なおかつ、花・柑橘類などが絶妙に混ぜ合わさった風味がある」とペルキンス氏はアディーナのホップの魅力について語っています。
参照記事
“The 5 Hottest Hops of 2022, According to an Expert”