クラフトビールを仕事にする〈Craft Beer Company社員インタビュー〉ブルワー、木水朋也さん①

クラフトビール好きの方にその魅力をお伝えしている当サイト。ここでは実際にビールを仕事にされている方のインタビューを3回に渡りお届けしましょう。お話を聞いたのはCraft Beer Company（クラフトビールカンパニー）で実際にビールのブルワーとして活躍してらっしゃる木水朋也さん。大学時代は理系で研究に没頭していたという木水さんがクラフトビールと出会い、そしてビール醸造に携わるようになった経緯や、クラフトビール作りへの想いを詳しくうかがいました。

ブルワーという仕事との出会い
お酒の街で暮らし、お酒を仕事にしたいと思うように
お酒をつくる側に、ブルワーになりたい！
クラフトビールのブルワーとしてオリジナルの味を作りたい！
「Vector Beer Factory」店舗情報

ブルワーという仕事との出会い

「その研究をしているのは、世界でもその研究室だけでした。」

そういって学生時代を振り返る木水朋也さん。彼は現在ビールの醸造所Craft Beer Company（クラフトビールカンパニー）のヘッドブルワーとして活躍されています。

とはいえ、もともとビールとはかけ離れた研究をしていたといます。はてさて彼は一体どんな研究をしていたのでしょう？

今回は3回に渡り、彼に「ビールを仕事にするということ」をうかがいました。ビール第1回の今回は、木水さんがブルワーという仕事に就くまでのお話です。

お酒の街で暮らし、お酒を仕事にしたいと思うように

木水さんは広島大学理学部生物学科のご出身。当時はビールを作るというヴィジョンはなく、なんとなんとホヤの研究に明け暮れていたといいます。

「ホヤの研究は面白かったです。世界でもその研究室だけしか専門的な研究はやっていませんでした（笑）」

と、木水さん。しかし彼は担当教授の引退を機に研究者とは別の道を志すことになります。

「大学があった街はたまたま酒蔵が多い西条という街でした。日本酒の街として知られていて地域との交流もあって、お酒に触れ合うことも多かったですね。個人的にお酒が好きだったので、気づけばお酒に関する仕事をしたいと思うようになっていたんです」

お酒をつくる側に、ブルワーになりたい！

そんなきっかけもあり、飲食店向けの酒屋の営業として働き始めた木水さん。

「当時は大手のものを売ることが仕事でしたが、つくる側にまわりたいと思うようになりました」

と、話します。営業マン時代に、ワインや日本酒について知識を深くするとともに、自分が「つくり手」になることを想像するようになったといいます。

「実は、最初に興味を持ったのはワインだったんですよ」

と、木水さん。しかし、ワインをつくる過程のほとんどがぶどうをつくる作業であることを知ります。ワインは「年中、お酒づくりをしたい」という木水さんのイメージとかけ離れたものでした。

「そんなとき、出会ったのがクラフトビールでした。ビールは年がら年中作っていますよね。それもあり、クラフトビールを作りたいと思うようになりました。」

こうして、あるクラフトビールメーカーに就職。ついにビールづくりを開始します。

「少人数の会社だったので、入って3カ月くらいである程度任せていただくようになり、そこでビール醸造の勉強をいっぱいしましたね」

イベントで出会ったブルワーさんたちに話を聞くなど、2年間に渡り知識を溜め込んでいきながらひたすらビールづくりに励んでいたといいます。

クラフトビールのブルワーとしてオリジナルの味を作りたい！

「次に生まれた夢が、『自分の考えたレシピのビールがつくりたい』というもの」

と、木水さん。年中、ビールを作りたいという夢が現実になり、次に描いた夢が「オリジナルのビール」をつくるということでした。

「そのビール会社では、定番のビールが決まっていました。だからそこに手を加えるということができない状態。自分の味に挑戦したいという想いは日々強まっていきましたね」

そんなとき、木水さんは現在働いているCraft Beer Company（クラフトビールカンパニー）と偶然の出会いを果たします。

「新しいことやりたい、という想いの中新しいブルワリーを探していたんです。話だけでも聞いてみようと思って行ってみたらブルワーが決まっていないということをうかがって」

そして、新宿のVECTOR BEER FACTORYでのビールづくりを開始。ここは、店内でビールをつくる機械を入れることを想定して造られたビアバルでしたが、店に本格的に機材が入ったのはちょうど木水さんが入社された2016年。あらゆるタイミングが重なって、木水さんは自分の味のビールに挑戦する環境を手に入れます。木水さんが27歳のときのことでした。