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Medium brewersdiary hop speases

2016.03.01

醸造家が教えるビール講座~ホップの種類~

こんにちは。クラフトビールのお店に行くと~ホップ使用、みたいな謳い文句を見かけることがよくありますよね。でもホップの名前をきいてもそれがどんなホップなのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな方向けにビアバーでよく目にするホップ達の特徴を個別に紹介していきたいと思います。

それではさっそくいってみましょー!


アメリカンホップ

1、カスケード

アメリカクラフトビールシーンを説明するのにぜったい外すことができない超有名ホップ。シェラネバダペールエールもアンカーリバティエールもその他多くのアメリカンペールエールやIPAでも使われるとってもポピュラーなホップ。特徴は何と言っても柑橘系の爽やかな香り!!苦味のもととなるα酸は5%程度と低い為、アロマホップとして使われることが多いホップです。


2、シトラ

名前もズバリ柑橘系の香りが特徴のアメリカンアロマホップ。注目すべきはそのオイル含有量で、有名なアメリカンホップ"カスケード"の約3倍の香り成分が含まれています。つまりシトラを使うとその強烈な柑橘香がダイレクトにビールに反映されるのです。ベクタービアファクトリーで造る記念すべき最初のビールは、このシトラのみを大量に使ったIPAを予定しています。


3、アマリロ

最近よく聞くホップNo.1はこちらじゃないでしょうか。わたくしの働くベクタービアでもこのホップの名前を冠したビールが連日繋がっています。

アマリロはとても人気で希少なホップで、使いたくてもすぐに品切れになってしまうので日本ではもっぱら期間限定醸造のビールで使われている印象です。だからアマリロを冠するビールが多いのかなとも思います。ホップとしての特徴はミルセンの割合が他のアメリカンホップと比べても極めて高く(約70%!!)、トロピカルフルーツやグレープフルーツのような甘みが感じられる香りをビールにもたらします。


4、シムコー

シムコーはパッションフルーツやパイナップルに例えられる独特のアロマを持つホップです。

このホップはとにかくIPAに使われることが多いという印象なのですが、その要因としてシムコーのα酸の種類が挙げられます。前回説明を省いてしまいましたが、苦味を出すα酸にもいくつか種類があります。よく見かけるのがフムロンとコフムロンで、一般的にフムロンのほうがクリーンでよい苦みと言われています。シムコーはコフムロンの割合が非常に低く、したがってえぐみのないクリーンな苦みのビールを造るのに適しているのです。苦味が味の主役となるIPAではその苦味の質にもこだわった結果、シムコーをビタリングホップとしても使っているのです。


ヨーロッパホップ

ザーツ

ザーツはチェコの伝統的なホップです。チェコと言えばピルスナー、ピルスナーと言えば使われるホップはザーツであることが多いです。日本の大手ビールもドイツやチェコをお手本に進化してきた歴史があるので、大手ビールにも間違いなく使われているホップです。

特徴はα酸の低さとクリーンな苦み、草原のような香りが挙げられます。チェコ以外でも栽培されており、USザーツやNZザーツ(モトゥエカ)はそれぞれチェコのものとは違った香りを特徴としています。


ケントゴールディングス

イギリスで伝統的に使われているホップで、その香りは紅茶に例えられることが多いです。

イングリッシュIPAやESBといったスタイルのビールによく登場します。私がサンクトガーレンにいたころはスタウトなど濃色系のビールでよく使っていました。α酸が低いのでアロマに使われることが多く、イギリス以外でもカナダやアメリカなどで栽培されています。ちなみに原産地のケント州で栽培されたものは単にゴールディングスという名前で流通しています。


そのほかの地域

ネルソンソーヴィン

ネルソンソーヴィンはニュージーランドのネルソン州で主に栽培されているホップです。

ネルソン州はワインの産地であるマールボロ地区がありソーヴィニヨンブランという白ブドウ品種が有名です。土地の特徴なのか同地域で育てられたネルソンソーヴィンはビールに白ブドウやソーヴィニヨンブランの特徴である草原のような香りを持っています。

その特徴的な香りから非常に人気の高いホップとなっていて、大手メーカーの限定ビールなどで使われていることもしばしばです。香り成分はフムレン比率が高くアメリカのホップとはまた違った特徴を持っています。


ソラチエース

ソラチエースは名前のとおり、北海道空知郡原産のホップです。とは言っても現在はほとんどがアメリカで栽培されたものが流通しています。日本ではあまり使われることがなかったホップですが、アメリカにわたってから、青草のような独特のアロマと高いα酸が注目され、いまや人気ホップに仲間入りしています。近年、国内クラフトビールシーンの盛り上がりの中で、日本のメーカーも日本らしいビールとしてこのホップを使うことが増えてきています。

アメリカやヨーロッパのホップとは違う日本のホップとして今後も要チェックなホップです。



以上いかがだったでしょうか。もし使われているホップがわかるビールと出会ったら、そのホップの特徴を意識しながら飲んでみると香りの感じ方も変わってきてより楽しめるのではないかなと思います。

今回ご紹介したホップ以外にもたくさんのホップが栽培、使用されています。是非いろんなビールを飲んで、自分のお気に入りホップを見つけてくださいね。

では今回はこのへんで。次回はもう一つの大事な原料、モルトについてお話していきたいと思います。

お楽しみに!

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木水 朋也

1988/2/12生まれ

2014年に神奈川の老舗クラフトビールメーカー「サンクトガーレン有限会社」に入社。同年より醸造担当として同社のビール製造を行う。

在籍中にWBA等国際的なコンペティションでの受賞歴あり。

2016年2月、ライナ株式会社に入社。ShinjukuBeerBrewingの醸造長として、新たなビールづくりを開始。

2017年11月には、浅草橋に新工場「CraftBeerCompany」が稼働開始し、2つの醸造所で多様なビール造りを行っている。

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