BREWING JAPAN

COLUMN

コラム

Medium molt

2016.04.15

醸造家が教えるビール講座~モルトの種類~

木水が教えるビール講座、5回目の今回はモルトについてもう少し掘り下げていきたいと思います。

モルトの概要的な部分は前々回のコラムを見てもらうとして、今回は様々なモルトについて説明していきたいと思います。

モルトの産地

ドイツ

ビール大国ドイツ。大昔からビールを飲み続けてきたドイツでは非常に多くのモルトが作られています。

日本のビールもドイツから技術提供を受けたブルワリーが多いので、必然的にドイツ産のモルトはよく使われています。

ドイツのモルトの特徴は、一般的にタンパク質が多いことが挙げられます。

タンパク質が多いとモルトの糖化効率が悪くなるので、ドイツ産モルトを使う場合にはデコクション法でたんぱく分解を行ってから糖化を行うことが多いです。

イギリス

イギリスも大モルト生産国で、有名な高級エールモルト「マリスオッター」もイギリス産です。

イギリス産のものはドイツに比べタンパク質量が少ないので、そこまで糖化効率を考えなくても十分に糖化ができます。

アメリカ・カナダ

アメリカやカナダのモルトは溶けがよく、そのためアメリカのクラフトビールはシングルインフュージョンで糖化を行っていることが多いです。

日本

日本でもビール用大麦の栽培は行われていて、北海道や東北などでよく聞きます。

クラフトビールメーカーによっては原料すべて地元産というビールを出してたりもします。大手だとサッポロビールが北海道の契約農家栽培の麦を使ったビールを出していますね。今後ブームが浸透して来たらどんどん生産量も増えてくるんじゃないかなと思っています。

モルトの種類

ベースモルト

その名の通り、ビールのベースとなる最も多く使うモルトです。

ベースモルトには、ピルスナー、ペール、ミューニック、ウインナーなどがあり、いずれも淡色のモルトです。

ベースモルトはアルコールの素になる糖分を提供するのが一番の役割です。これがないとビールになりませんので、どんなビールにも一定量以上含まれています。

カラメルモルト

カラメルモルトは麦の発芽後、麦のでんぷんがある程度糖分に変わってから乾燥、焙燥させたもので、糖分が熱によってカラメル化したモルトです。

カラメル化すると酵母が使えない糖分となるので、カラメルはビールに残ったままとなり、香りやコクを生み出します。

熱する温度によってカラメルの色合いが変わるので、色味によって様々なカラメルモルトがあります。

アンバーエールやIPAなどでよく使われているモルトです。

ローストモルト

ローストモルトはコーヒー豆のように黒く焦げるまで焙煎したモルトです。

香ばしいロースト香やチョコレートやコーヒーのような風味をビールにもたらします。

黒ビールはもちろんのこと、少量でビールの色を濃くするので色味の調整に使われることもあります。

ローストバーレイ

ローストモルトと似ていますが、こちらはモルトではなく未発芽の麦を焙煎したものです。

もともとは酒税の低減のためにギネスビールが使い始めたものですが、今ではスタウトというビールスタイルでは欠かせない原料になっています。

ウィートモルト

こちらは大麦ではなく小麦の麦芽です。ヴァイツェンやホワイトエールなど、白ビールと呼ばれるビールにはほとんどの場合ウィートモルトが含まれています。

ウィートモルトは大麦に比べタンパク質を多く含み、色も薄いのでウィートモルトと使うと白っぽく、きめの細かい泡を持つビールとなります。



そのほかにもライ麦や、乳酸発酵させたサワーモルト、燻製したスモークモルトなどもビールの原料として使われています。

同じ色のビールでもカラメルモルトの色味かローストモルトの色味かによって味わいは大きく変化します。さらに産地の違いによって糖化の仕方が異なったりするので、狙った味になるよう使い分けながらレシピを作成しています。

近年ホップばかりが注目されていますが、モルトもビールに与える影響は非常に大きいので、モルト由来の香りや味も気にしながら飲んでいただくとより深くビールを楽しめるかなと思います。

次回はビールのスタイルについてちょこちょこ説明していきたいと思います。

お楽しみにー!!

Img 0464

木水 朋也

1988/2/12生まれ

2014年に神奈川の老舗クラフトビールメーカー「サンクトガーレン有限会社」に入社。同年より醸造担当として同社のビール製造を行う。

在籍中にWBA等国際的なコンペティションでの受賞歴あり。

2016年2月、ライナ株式会社に入社。ShinjukuBeerBrewingの醸造長として、新たなビールづくりを開始。

2017年11月には、浅草橋に新工場「CraftBeerCompany」が稼働開始し、2つの醸造所で多様なビール造りを行っている。

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