BREWING JAPAN

COLUMN

コラム

Medium beerlecture molt

2016.03.28

醸造家が教えるビール講座~モルトとは~

みなさん、おいしいビール飲んでますか?

木水の教えるクラフトビール講座、はやくも三回目になりました。

前回まではホップについて説明いたしましたが、今回はもう一つの大事な原料、モルトについて解説していきたいと思います。

多くの人にとって、ビールは金色のイメージが強いと思いますが、クラフトビールを飲まれた方なら、金色以外にも様々な色合いのビールがあることはご存知だと思います。

白っぽかったり、銅色であったり、光も通さないほど真っ黒だったり、ビールの色合いは実にバリエーションに富んでいます。

このビールの色を決める要因はほとんどすべて使うモルトの割合によって決まっています。

また、ビールのコクやアルコール感、香りにも大きな役割を持っているモルトは、ビールの漢字表記が麦酒であることからも最重要原料であることが分かると思います。

今回は、そもそもモルトってなに?どんな役割なの?ってところを解説していきたいと思います。

モルトの概要

そもそもモルトとは

モルトは、日本語で麦芽といい、大麦を発芽させた状態で乾燥させたものです。

使う大麦は基本的には二条大麦で、麦茶に使われる六条大麦とは別物です。

なぜ発芽させるの?

大麦は多くのでんぷんを含んでおり、このでんぷんを酵母の力でアルコールに変えることでビールとなりますが、発芽前の大麦のでんぷんは大きすぎて酵母が食べることができません。

そこで、大麦が発芽することで発生する酵素の力でまずでんぷんを糖に分解する必要があるのです。この工程を糖化といいますが、糖化を行うための酵素を発生させるために大麦の発芽が必要になります。

なぜ乾燥させるの?

発芽した麦芽をそのままにしておくと、そのまま芽が伸びて育ってしまいます。するとアルコールになるはずのでんぷんを芽の成長に使われてしまうので、乾燥させてそれ以上発芽が進まないようにする必要があるのです。

モルトの役割

アルコールの素

なんといってもモルトの一番の役割は酵母がアルコールを生み出すための原料となる糖を提供することです。逆に言えばモルトがなければ(ホップだけでは)アルコールは生まれません。

お酒の分類は、ワインならブドウ、日本酒なら米といった具合にどんな原料の糖をアルコールにするかによって決まってきます。これが、ビールにおいてはモルトなのです。

ビールの色

後述しますが、モルトはその乾燥温度によって様々な色合いのものがあります。それらモルトの色はダイレクトにビールの色に反映されるので、どんな色のモルトをどんな割合で使うかによってビールの色は決まってきます。

様々な香り、コク、味わい

モルトの種類によって、ロースト香やカラメル香、パンのような香りなど多様な香りがあります。同じ色のビールでも使うモルトが違えば特徴となる香りも異なってきます。さらにコクや味わいといった部分はビールに残った糖分が強くかかわっているので、モルトの種類や糖化の温度で大きく変わってきます。糖化についてはまた改めて解説しますので、ここでは聞き流していてください。

モルトの種類

産地

大麦は世界中で作られています。よってモルトも様々な地域のものがありますが、クラフトビールに使われているものは、ドイツ・チェコ産、イギリス産、アメリカ産の3つが多いと思います。

産地によって、含まれるたんぱく質の量や色合いが違うので、どこのモルトを使うかによってビールの味わいは変化します。また、モルトによって糖化のやり方も変わってくるので、モルトによって醸造のやり方も変わってきます。

細かいお話はまた次回以降にご説明しますが、一般的にドイツ産はタンパク質量が多く、アメリカやイギリス産はでんぷんの割合が多いです。

種類

産地以外にもモルトを乾燥させる工程の温度で多様なモルトが作られます。

乾燥の際に高温で焙焦させると焦げて黒くなり、ブラックモルトやチョコレートモルトが作られます。これは黒ビールの原料となっていて、モルトの色がそのままビールの色に反映されます。香りの特徴としては、焦がすことで、カカオやコーヒーのような香りが生まれます。

逆に低温で焙燥させると、ピルスナーモルトやペールエールモルトになります。アルコールの素となるでんぷんは低温で焙燥させなければ壊れてしまうので、これらのモルトをベースモルトといい、どんなビールにも一定量以上使われています。

さらにモルトを生成する際に麦芽内ででんぷんの分解が起き、糖になってから焙燥させると、糖がカラメル化したカラメルモルトが生まれます。焙燥温度によって色合いの薄いものから濃いものまで非常に多様な色を持ったカラメルモルトがあり、その組み合わせで、様々な色合いのビールが生まれます。カラメルモルトはビールに甘味やコクを与えてくれます。

さらに小麦やライ麦、お米なども原料として使われることがあります。特に小麦はヴァイツェンやホワイトエールには必ず使われていて、独特な丸みのある甘味やきめ細やかな泡をもたらします。


いかがでしたでしょうか。モルトはホップに比べ、非常に複雑で様々に組み合わされて使われているのでわかりにくい部分もありますが、ビールの色を見て、どんなモルトが使われているか想像しながら飲んでみるのもいいかもしれません。

次回はもう少し細かくモルトについてご説明していきたいなと思います。

お楽しみにー!

Img 0464

木水 朋也

1988/2/12生まれ

2014年に神奈川の老舗クラフトビールメーカー「サンクトガーレン有限会社」に入社。同年より醸造担当として同社のビール製造を行う。

在籍中にWBA等国際的なコンペティションでの受賞歴あり。

2016年2月、ライナ株式会社に入社。ShinjukuBeerBrewingの醸造長として、新たなビールづくりを開始。

2017年11月には、浅草橋に新工場「CraftBeerCompany」が稼働開始し、2つの醸造所で多様なビール造りを行っている。

関連記事

Medium 20161015 155825

2016.10.29

志賀高原ビール収穫祭へ!!!

志賀高原ビール収穫祭へ!!!玉村本店・志賀高原ビールさんが、毎年主催運営をしている「収穫祭」へ行ってまいりました。新しい醸造所がみれるーー!志賀高原ビールの情報は公式ブログからどうぞ!URL↓↓↓【東京から長野へ】東京駅から長野まで新幹線で1時間40分 ...

続きを読む

Medium 20161015 092617

2016.10.18

ヤッホーブルーイング工場見学ツアー!!!

ヤッホーブルーイング!行ってきたよ!毎年7月~10月の週末だけ工場見学を行っているという事で行ってまいりました!!!3、4年前から行っているんですね!事前予約が必要で、公式サイトからできます。URL↓↓↓http://yohobrewing.com/さ ...

続きを読む

Default

2016.06.30

醸造家が教えるビール講座~ラガー~

お久しぶりです。木水です。今回はラガーの代表的なスタイルについて解説していきます。ピルスナー世界で最も飲まれているスタンダードなビアスタイルです。スーパードライも一番搾りもバドワイザーもハイネケンも、全部ピルスナーです。もともとはチェコのピルセン地方発 ...

続きを読む

Medium 25329

2016.06.07

大阪箕面。自然の町でつくるビール!

大阪箕面ビール行ってまいりました。箕面言えば自然が豊かで、大阪府が『住みたいまちNO1』を目指して街づくりを行っています。梅田から電車に揺られて約40分、緑そわそわ空気が何だか違う感じ……。と思うのは安直でしょうか(笑)私の前を歩く、地元の方ではない雰 ...

続きを読む

Medium 25316

2016.06.07

こだわりの横浜ビール

横浜ビール工場見学! 横浜にあるクラフトブルワリー!横浜ビール醸造所へ見学に行きました!横浜ビール醸造所とは… 横浜の地で醸造を始めて17年!第一次地ビールブームから先駆け的に作られたブリュワリーです◎横浜ビールでは年間生産量60㎘を生産。2klタンク ...

続きを読む

Default

2016.06.02

醸造家が教えるビール講座~ビアスタイル エールとラガー~

こんにちは。みなさん、ビールのスタイルってしっていますか?ビアバーに行くと様々な名前のビールがありますよね。IPA、ピルスナー、ヴァイツェン、スタウト、、、、etcこれらは全部ビールのスタイルを表す言葉です。ビアスタイルとは、そのビールの色や味わい、香 ...

続きを読む

Medium molt

2016.04.15

醸造家が教えるビール講座~モルトの種類~

木水が教えるビール講座、5回目の今回はモルトについてもう少し掘り下げていきたいと思います。モルトの概要的な部分は前々回のコラムを見てもらうとして、今回は様々なモルトについて説明していきたいと思います。モルトの産地ドイツビール大国ドイツ。大昔からビールを ...

続きを読む